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新妻に捧げる歌

残していったもの
親父が、弟の結婚式にと、
知らなかったが練習していたフルートの楽譜。


そう、親父はそれはそれは弟の結婚を心配していた。
良い人が見つかれば。


お袋が言ってた。
その時には「この曲をフルートで吹くから、歌はお前が歌え」ってお袋に言っていたようだ。
どうやら両親二人でサプライズを企画していたようだ。

そんな楽譜が、今にでも練習し始めるかのように部屋に置かれている。
仕事もリタイアしてこれから第二の人生が始まってまだ数年。
趣味として始めたフルートだった。
フルートを始めたことを聞いた時はそりゃ、そんな趣味が親父にあったなんて驚いてはいたけどね。
最近じゃ、あまりの練習に腱鞘炎になるくらいだったらしい。


弟は、それはそれは思うところがあるだろう。
そんなうまく結婚相手が見つかるものでもないし、タイミングだってある。
そりゃ、生きていいるうちに会わせたかっただろうに。
でもそんな簡単な問題でもないしね。


だから、きっと。
いつか結婚するときには天国の親父にこの曲とともに、嫁さんを紹介するんだろうな。


昭和の、そう、何だかとても優しいメロディーが心の奥底がギュッと熱くなる感じ。
そんなサプライズ、何も死んでから教えてくれなくったて。。。